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潜入

陽気なガラモス

 戦闘意欲では引けはとらないが、装備ではまだまだ劣り、苦戦を強いられている帝国軍のなかにあって、つねに笑いが絶えずどんな厳しい任務でも愚痴ひとつこぼさない部隊があった。ひと呼んで陽気なガラモス率いる特殊工作隊であった。

 

 火族(ファイヤー)出身であるガラモスは爆発物のプロフェッショナルである。地を這うように赤くのびる炎は、敵陣に音もなく迫りあっという間に焼きつくす。その早業は火族がもっとも得意とする攻撃テクニックであった。

 

 初期のころはゾイドももたず、兵のテクニックのみで戦ってきたが、モルガを設計(発案者はガラモス自身)、完成してからは、敵陣への接近・潜入・破壊がさらに活発となった。とくに緊張が求められる任務であったが、ガラモスの勇気と陽気さは隊員たちをリラックスさせ作戦の遂行は多くの成功をみた。

 共和国兵士は幾度となく戦場に響くガラモスの豪快な笑い声を聞いたことだろう。

 

 しかし、惜しいことは、工作活動がまだゲリラ的な効果しか発揮できなかったことだ。大きな作戦の成功を握るような重要な存在になるまでには、まだ年月が必要であった。

 

 ガラモス隊は一度出撃すると何カ月も戻らない。しかし、帝国の星人は風の便りに彼らの活動を耳にし、小さな部隊でありながら巨人のような力を発揮するガラモスたちに賛辞を送るのであった。

▲共和国に潜入し敵の動静を探るガラモス

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