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二人の王子

 歴史とは離散集合の繰り返しである。

▲ ヘリック・ムーロア二世

 中央大陸において、敵対していた民族はヘリックの下に一つにまとまり、平和な時代が訪れた。国王となり大陸全土を治めたヘリック王は、平和を貴ぶ風族の貴族、ジェナス家の娘を姫として迎え、第一王子ヘリックⅡ世をもうけた。

 またその後、ヘリック王は、かつてこの大陸が直面したみにくい争いの時代の再来と外敵の攻撃にそなえ、もう一人の子ゼネバスをもうけたのである。第二の姫として迎えたゼネバスの母は、かつての大敵ガイロスの妹であった。

 平和、調和、統一を重んじ、優れた統治能力をもつジェナス家の血を引く第一王子ヘリックⅡ世、そして困難な時局を勇気と力で打開してゆく勇猛な戦士ガイロスの血を引く第二王子ゼネバス。

 

 父となったヘリック王は、息子ヘリックⅡ世に武力の必要を説き、その弟ゼネバスには政治の大切さを教えた。この二人に「知性ある統一」と、「勇気ある平和の庇護」という両輪となって、王国の維持、運営にあたって欲しいと願ったのである。それは、長く続いた戦乱の時代を生き、真に平和と安定を求めるヘリックの偽らざる願いであった。

 

彼のこの願いは、2人の若い王子に受け継がれた、かに思えたが……

▲ ゼネバス・ムーロア

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