top of page

逆襲

カミソリメツラー中佐

 砦で激戦がくりひろげられていた頃、帝国軍の分隊はメツラー中佐の指揮のもとヘリック共和国の首都をめざしていた。

 ゼネバス皇帝は言った。

「この作戦は共和国に少しでも多くのダメージを与えることにある。我が兵の血を流すことなく、敵兵の血を一滴でも多く流すのだ。そして、決して帝国は勝利の日まで戦いをやめることがないという我々の決意を、ヘリックと共和国の腰抜けどもに知らしめるのだ」

 メツラーのカミソリのような目は首都に向けられていた。しかし、メツラー隊は首都のはるか手前で行く手を阻まれた。レッドリバー砦からの「メーデー」(SOS)発信を受けた首都防衛軍がはなった偵察ゾイド・グライドラーが空からメツラー隊の動きをキャッチ、攻撃にでたのである。

 

 空からの攻撃に対抗できる装備が未熟な帝国軍はあっけないほど敗走、メツラーはジャングル地帯をたくみに逃げ、レッドリバーの本隊と合流した。

 これはメツラーにとって屈辱的な敗北であった。彼の共和国に対する憎しみはますます燃えあがった。

 

 レッドリバー作戦は、帝国、共和国の両軍が正面から力と力で激突した初めての合戦であった。戦いは約4ヶ月続いたが、共和国軍が沿岸警備隊を投入することによって形勢を逆転させ、ついにガンビーノに作戦の中止を決意させた。

 この作戦は共和国のヘリック大統領に、ゼネバスのかたい決意と帝国軍のメカがあなどりがたいものになっていることを感じさせた。

 ガンビーノは遠く故郷の山なみをながめ、再びこの地を踏めるのはいつの日か…反撃の日の訪れることを誓いつつ戦場をあとにした。

bottom of page