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中央大陸統一

ZAC1957年

 全ては、ヘリックの思惑通りであった。暗黒大陸軍団の出現は、ヘリックの考えた策なのである。

 

 だれも知らないこの事実…いや、もしかすると、策略家であるガイロスだけは、その事実に気づいていたのかもしれない。が、ガイロスは全てを飲み込んでヘリックに告げた。お前こそ、真のリーダーにふさわしい…と。またいつの日か、この中央大陸を外部から強敵が襲うかもしれない。

 

 敵を打ち負かし、東西のいさかいをやめたこの日こそあらたなる始まり…大陸が一つに統合された、統合記念日となった。この日から、戦火に焼かれ、荒れはてた大陸の再建が始まった。ヘリックは東西の隔てなく、全ての民族を平等に扱うという宣言を行い、大陸の富は皆で分かち合う事を表明した。

 大陸には平和が訪れ、星人は、大陸を救った恩人ヘリックを父と敬い国王としてむかえた。ヘリックは、各民族の代表を集めた議会によって、国政を決める民主政治を敷き、大陸を治めた。

 ここにヘリック王国が誕生したのである。

 

 一方、晩年を静かに暮らしていたかにみえたガイロスは、

「すでにこの大陸にはおれの仕事は残っていない」

 そう人々に告げると、側近二人だけをつれて暗黒大陸のさらに北に位置すると言われる幻の領土を目指して旅に出た。彼はその後、結果的に後のガイロス帝国の建国に関与することとなる…

暗黒大陸軍の敗退

 広大な領土を所有しながらも、中央大陸とは魔の海域「トライアングルダラス」によって阻まれ、その国土の大半を岩と氷に閉ざされた≪冷たい王国≫、それが暗黒大陸だ。

 

 その氷は、間氷期にも溶けることはない。はるか、有史以前からそこに住む彼ら、暗黒大陸の住人たちは、その厳しい環境に良く慣れ、この極寒の地で生き抜いてきた。彼らは氷で造られた城に住み、他の大陸とは異なる環境で進化した生体ゾイドを家畜化しており、「ディオハリコン」と呼ばれる特殊な物質によるエネルギーを与え、中央大陸のゾイドよりも個体あたりの戦闘能力は圧倒する力を持っていた。

 しかし、彼らはいつの日か、陽光の降り注ぐ豊かな大地を手に入れようと、ひそかな野心を抱いていたのだ。そこへ現れた、大陸からやってきた冒険家をヘリックとは知らず、暗黒大陸の長は「期熟したり!」と挙兵したのである。

 

 今回の戦いには敗れたものの、暗黒の軍団は、豊かな大陸への進攻をあきらめたわけではない。またいつの日か、再び、暗黒の軍団がその牙を向く時が、来るかもしれない……

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