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奇襲

猛将 ガンビーノ

ZAC1980年

 レッドリバー(赤い河)の川岸に立ち、懐かしいセシリア山の頂を見た時、ガンビーノは、故郷が手の届くところにあるのを知った。

 

 偉大な王ヘリックの時代、ガンビーノは若い士官として大陸の平和に尽くした。ガイロスの信任が厚く、いかなるときも敵に背を向けたことがなく、猛将の異名で呼ばれていた。

 ガイロス失踪後はヘリック王の希望により、ゼネバスとゼネバスの母を守る親衛隊の隊長としてその任についた。兄弟の不幸な別れに際しては、幼少のころから我が子のようにみてきたゼネバスと運命をともにすることを決意した。それは、決してヘリック大統領に逆らうものではなかった。

 セシリア山、そこの地底こそ、地底族すなわちガンビーノの生地であったのだ。地底族は、生涯をその支配者に捧げることが運命づけられていた。

 

 ガンビーノが率いる特殊中隊はゼネバス帝国から陸路を通り、レッドリバーにたどりつき川を逆のぼりヘリック共和国に奇襲をかける作戦行動中であった。

 真っ赤な血のような色をした川(金属イオンのとけた色。川の名前の由来になっている。)は静まりかえっている。向こう岸にある共和国守備隊が駐屯する砦は、ガンビーノたちの行動に全く気づいてはいなかった。

 未明、中隊は二手にわかれ、ガンビーノの隊は渡河し、別の隊はグレイ湖を迂回しさらに上流へむかった。ガンビーノ隊が川を渡りきった時、まだ砦は深い眠りについていた。

 

「ワレ キシュウニ セイコウ セリ」

 

 ガンビーノから帝国ゼネバスのもとに無電がうたれたのは攻撃の開始された直後だった。

▲ 猛将ガンビーノ

 ゼネバス皇帝の後見人。地底族出身で敵に後ろを見せたことのない勇猛な将軍。

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