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激戦

ターナー中尉

 ガンビーノが自ら操縦する司令機レッドホーンの砲が火を吹いた。 深い眠りについていた砦は、蜂の巣をつついたような大混乱におちいった。レッドリバーという自然の要塞に囲まれて敵襲など予想もしていなかった油断をつかれたのだ。

 

 指揮系統の乱れから、共和国の精鋭も新兵の集団にすぎなかった。その中でターナー突撃隊長は冷静に部下をまとめ、戦況の把握を急いだ。砦の司令塔からながめ、攻撃は帝国軍の特攻隊であること、そしてその指揮官が猛将ガンビーノであることを素早く判断した。ガンビーノはターナー中尉のかつての上官であり師でもあったのだ。

「奇襲は緻密な作戦と大胆な決断によって勝負が決まる」

 …かつての師の教えをターナーは司令塔の上でかみしめていた。苦戦に陥り、混乱の極に達していた砦はターナー中尉の的確な指示により体制を整え、ハイドッカー、ゴルドスなど共和国ゾイドの火力により反撃に転じた。ターナーは突撃隊を再編成するやいなや、砦の門を開きうって出た。

 

 ガンビーノはその勇敢なかつての部下を認め、ここで戦火を交えねばならない宿命に涙した。そして勇猛な活躍に敬意すらおぼえた。

 激戦はその日の夜まで続いた。陽が沈むとともに、消耗しきった両軍は…帝国軍は川を渡り、共和国軍は砦にひきあげた。 砦はついにおちなかった。しかし奇襲は成功であった。帝国軍はこの作戦で共和国のゾイドをより多く破壊することに目標を置いていたのだ。

 その目標は充分に達成できた。

▲ターナー中尉

 かつてガンビーノの部下であった共和国突撃隊長、冷静沈着な指揮官。

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