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人口の増加と他民族との接触

中央大陸に広がるゾイド人

ZAC1700年代

 かつて中央大陸デルポイには約50以上もの部族が、狩猟、採集生活を送っていた。彼らは次第に原始的血族集団を形成し、集合体としての村を作った。そして居住している地域の特性に合った生活習慣を発達させ、部族の自覚をもち始める。

 

 彼らが自給自足し孤立して暮らしてきた理由は、何回となく繰り返されてきた天変地異にあった。また、それぞれのテリトリーに食物や水が十分にあったため自分たちの領域から外へ出ることもなかったのである。むしろ、それが身を守る方法でもあったのだ。

 しかし、ZAC(ゾイド星暦)1600年以来ゾイド星は不気味な静寂を保ち、小規模の火山爆発は見られたが、それもじきに鳴りを潜めていった。その結果、ひとつのテリトリーにとどまっていたのでは生活できなくなってきた。

 

 大陸の面積に対し、人口はまだ少なく、領土の領有権をめぐる紛争は発生しなかった。しかし、やがて生活技術の進歩は狩猟、採集社会を畜産、農耕社会へと変えていった。それまで人々は、その生活時間の全てを食糧の獲得のために使っていたが、畜産、農耕社会の到来により食糧の備蓄が可能となり、また食糧の生産にかかわらない有閑層を作り出した。

 この事が人口の爆発的増加へとつながり、また高度な統治社会を形成していった。民族同士は頻繁に交易を行い、その物々交換はやがて金貨による通貨経済を発達させた。交通手段としての家畜ゾイドは、それ自体が高級品となり、大陸全土に一定の価格で供給されるようになる。

 ZAC1700年頃になると、各民族はその生活領域を完全に自分たちの領土と意識し、その領土こそ自分たちの生活の根底にある絶対的なもの、と認識するようになった。

 山岳地帯に住む鳥族、海に住む海族、砂漠に住む砂族、そして他の部族とは、例外として分類しなくてはならない地下に隠れ住む地底族が、その代表的なものである。

 やがて通貨の流通により部族集落間に、はっきりとした経済的格差が生まれた。優れた畜産、農耕技術を持ち、様々な魅力的な生活用品を生産できる部族たちは経済的に台頭し、それ以外の小さな部族を吸収していった。

 

 そして中央大陸には、はっきりとした部族集団による勢力地図が描かれるようになった。この時点で、人々の生活を支えていたのが、家畜ゾイドたちである。

 それらは輸送用、土木作業用、そして防衛用と、様々な用途に分類され、多くの部族はそれらの統括を公営にて行なっていた。

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