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レオゲーター

ZAC2108年10月 中央大陸デルポイ・ウィルソン川

 共和国軍の新たな拠点となった中央大陸北東部には、アクア海に流れこむウィルソン川が横たわっている。巨大な湖、ウィルソン湖を源流とした大河である。帝国軍は、共和国軍がこの川を渡り、南方に位置する旧共和国首都に到達する危険を予期。対岸300キロに渡って強固な陣を築き、水中形態のスティルアーマー(ドリアスピス)をはじめとした有人キメラ多数を配置した。
 
 だが、ZAC2108年10月の末期、この防衛陣のひとつに非常警報が鳴り響いた。哨戒任務中のキメラ1機からの連絡が途絶えたのだ。ただちに、ドリアスピス数10機にスクランブル指令が下る。

 突然、ウィルソン川が逆流を始めた。ドリアスピスの残骸をくわえたレオゲーターが、川面から姿を現したのである。おびただしい数のレオゲーターが川を覆い尽くしている。その数、およそ150。数にまかせた作戦である。
 エヴォフライヤーと合体した工作機形態「シザーアームゲーター」が基地の外壁を切り裂き、大穴を開けた。その穴に、一斉に殺到するレオゲーター軍団。この帝国陣は、援軍の到着を待たず陥落した。

 陣の一角を崩した共和国軍だったが、今度は帝国軍増援部隊の襲撃から橋頭堡を守る防衛戦を余儀なくされた。地を圧する帝国軍の大部隊。シザーストーム、レーザーストームを主力とする砲撃師団だった。そのストームガトリングが、一斉に火を吹いた。凄まじい集中砲火。レオゲーター部隊は、隊列の最前列と最後尾の機体を破壊され、身動きができなくなった。
 
 だが帝国軍が勝利を確信した瞬間、レオゲーター部隊は次々とライガーモードへと変形した。疾風の足が砲撃を縦横に避け、敵部隊との間合いをつめるべく一気になだれこむ。その時、最前列のレオゲーター数機が、真っ二つになって爆発した。帝国軍の恐るべき最新鋭高速ゾイド・エナジーライガーが出現したのだ。エナジーライガーの背後には、新たなゾイドの群れ。帝国軍の増援は、刻々と戦力を増強しつつあった。

 突如、数10機の凱龍輝のB-CAS、月甲と飛燕が飛来した。それらは次々とレオゲーターに合体し、重装甲のアーマードレオへと換装させた。渡河に成功した後続の共和国主力が、戦場に到着したのだ。
 帝国増援部隊すらはるかに上回る大部隊の進撃。それでもエナジーライガーは怯まない。怒りをこめて、アーマードレオに突撃する。その斬撃に、レオの重装甲は1度だけ耐えた。それで十分だった。その間にレオゲーター部隊はストーム部隊に取りつき、壊滅的な打撃を加えていたのである。

 帝国軍は今、ZOITECの援助を受けた共和国軍の驚くべき生産力に押され始めていた

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