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空前の新型ゾイド開発競争

帝国側ゾイド軍団の誕生

ZAC2031年

 共和国軍の陽動作戦にまんまとひっかかり首都は壊滅的な被害を受け、帝国の星人は皇帝以上に焦りと不安を抱きはじめていた。軍部の一部に不穏な動きが出始めたのはそんな時だった。

 ゼネバスは苦しい財政の中から、復讐の炎を燃やし続けるために、星人の暮らしを顧みず機械獣改造のための秘密工場をつくるなど、資金を湯水のごとく注いだ。地球人ランドバリーの口車に乗せられ、大陸征服の意欲はいやがうえにも高まった。とりわけ、憎むべきヘリックは是が非でもこの手で倒さなければならない。
 ゼネバスの頭の中には、すでに帝国の星人のことは欠片もなかった。

 中央大陸の南に広がるフロレシオ海、共和国のフロレシオス艦隊が、国境近くの軍港めざして航海を続けていた。

 艦隊の護衛する共和国新型ゾイド、バリゲーターのレーダースクリーンに、上空から高速で接近する正体不明の機影が映った。
「おかしいぞ。帝国軍は飛行ゾイドを持たぬはずだが…」
 当直士官が首をひねっているうちに、最初のミサイルが一隻のフロレシオスを襲っていた。正体不明の飛行ゾイドの名は「シンカー」帝国軍が密かに開発した水中、空中両用の戦闘機である。

 陸上戦から空中戦、海上戦へと戦場の広がったこの年は、新型ゾイドが続々と誕生した時期でもあった。 

 とりわけ帝国軍は、各地の戦場へ次々と新たなゾイドを投入した。見たこともない正体不明の敵に追われ、共和国兵士の間に不吉な噂が流れた。

「いつの日か、とても太刀打ちのできない悪魔のような敵ゾイドが出現するのでは……」

 戦場の地図は、大きく塗り替えられようとしていた。

▲はからずも両軍新型ゾイドの対決となったフロレシオ海海戦。水陸両用の共和国ゾイド、バリゲーターも、新鋭シンカーの空からの攻撃には反撃のしようもなかった。

▲共和国軍高々度重爆撃機「サラマンダー」。飛行速度、航続距離、上昇高度のすべてにおいて、

他の飛行ゾイドを上回る高性能機。「アイアンウイング」のニックネームで恐れられている。

▲帝国軍マーダ
最高時速500kmをほこる軽量高速メカ

▲帝国軍ザットン

輸送、偵察など多目的に使用される。

▲帝国軍ゲルダー
ぶ厚い装甲で敵の攻撃をはねかえす。

▲帝国軍モルガ

低い姿勢で攻撃をさけながら敵にせまる。

▲高性能レーダーの出現で夜間も戦闘の舞台となった。
背びれのレーダーで敵ガイサックの位置をつかんだ帝国ゾイドゲーターは、正確にガトリング砲の連射を浴びせた。

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