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ファーストコンタクト

 中央大陸を南北に走る中央山脈。険しく、天候も変わりやすい為、滅多に人が入ることもなく、神族の領地として今でも未開の地が残る場所である。かつては、風族と地低族を…今では共和国と帝国を2分している最前線の地でもある。

 砂漠の戦いも長期化し、共和国、帝国の両軍は何か打開策がないかと互いに探りあいをはじめていた。そんなある日、グランドバロス山脈のほぼ中央で両軍偵察隊の衝突があった。小さな戦いであったが、深い密林であった為、朝から夕方まで攻防が続いた。
 両軍の兵士達が物凄い音を聞いたのは、夕日が西の空を染め始めた時だった。兵士達は戦いを忘れて、音のする空を見上げた。

 爆音は兵士の耳をつんざき、巨大な火の玉は山脈の峰にぶつかり不時着した。
 両軍の兵士はそれまでの攻防を忘れ、未知なる飛行物体へと走り寄った。大破したそれからは自分たちと同じ姿をした生物達が傷付き降りてきた。
 両軍の兵士達は最初、警戒しながらも生物達に近づいた。だが、人間と判ると帝国、共和国へと奪いあうように捕虜にしていった。

 ヘリックとゼネバスに知らせが届くと、二人の脳裏には、かつて父が戦った暗黒大陸の事がよぎった。だが、それが間違いであることは直ぐに判明した。
 しかし、かつての侵略者は中央大陸に統一をもたらしたが、この来訪者達が両軍にとって、さらなる戦争の火種になろうとは誰も知る由もなかった。

 程なく両軍はどちらからともなく兵を引き、長かった「砂漠の戦い」は休戦状態になった。 

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