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接触

 不時着した宇宙船は、ゾイド星とは銀河系の中心をはさんで正反対に位置する惑星「地球」からきた「グローバリーⅢ世号」で、船内で発生した内乱によって墜落したことを報告したのは、最初に彼らと接触(コンタクト)したブラントン偵察隊長であった。

 

 まもなく互いの言語が通じ合うようになると、地球人は自分の科学力を見せつけ、共和国内での待遇を徐々に改善していった。そして、捕らえた地球人のなかにすぐれた科学者でグローバリーⅢ世号のエンジニアであるクローネンブルグ博士の存在をつきとめると、大統領はさっそく博士を官邸に招いた。

 クローネンブルグ博士がグローバリーⅢ世号に乗船したのは、単純に学者としての興味からでもあった。不幸にして内乱がおき、不時着した未知の星が戦時下にあり、いまその一方の大統領に会見しようとは…博士はなにか運命めいたものを感じた。 

 この星で驚いたことは、地球では何億年も昔に滅亡した恐竜のフォルムをしたメカ生体が活躍していることと、その武器の粗末さであった。

 クローネンブルグ博士は、平和を望むヘリックⅡ世の意志に賛同し、部下たちと共に共和国防備用の兵器開発に協力を申し出た。
「大統領閣下」
 博士は言った。
「我々地球人は宇宙開発のためにさまざまな形で科学技術を進歩させました。武器も例外ではありません。いま、お手元にあるレーザー銃もほんの一例です。お望みとあらば、レーザー銃もビーム砲も製造いたしましょう。私たちはレーザー砲にかかせないルビーがこの星に存在していることはすでに調査済みです」

 地球人の一博士の一言は、ゾイド星の戦いを変えた。

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