戦場の赤いイナズマ
サーベルタイガー誕生
ZAC2036年
ゾイドゴジュラスの持ち帰ったトラ型帝国ゾイドの情報は恐るべき内容だった。最大時速200km、連装ビーム砲などの多彩な武器、どの点をとり上げても、これまでの共和国ゾイドを上まわっていた。
ただひとつ、予想重量80トンという軽量さに共和国司令部は勝利の糸口を見つけようと考えた。
「総重量200トン近い大型ゾイドが格闘戦に持ちこめば、勝機を見い出せるのではないだろうか」
しかし、結果は共和国ゾイドにとって悲惨なものだった。戦場に登場したトラ型ゾイドは、時速200kmのスピードを少しも落とすことなく、格闘戦を続けられるのだ。共和国大型ゾイドは、敵を補足する間もなく、鋭い牙で急所をえぐられ倒されていった。
ついに共和国司令部は全軍に指令を出した。
『帝国トラ型ゾイド、サーベルタイガーに遭遇した部隊は、極力交戦をひかえ、直ちに空軍の援護を求めること』
コング、タイガーの強力メカに追い込まれた共和国軍。 兵士たちの中には敗北を考える者までいた。
だが、その頃、共和国の研究所で戦況を一変させる新型ゾイドが完成に近づいていることを知る者は少なかった。今までに、だれも想像したことさえない超巨大ゾイドが――
▲ヘルキャットをしたがえて、猛スピードでゴドスに襲いかかる。サーベルタイガーの攻撃から逃れたものはいない。
▲帝国軍が秘かに戦場に送り込んだ暗殺者、「ザ・スナイパー(狙撃手)」。命中精度抜群の長距離狙撃砲を背中に装備し、はるかかなたから一撃で敵をたおす。生きてスナイパーの姿を見た者はいない。
▲夜間攻撃はサーベルタイガーのひとり舞台だ。暗闇と雨にかくれてしのびより、ビガザウロが気づいた時には、すでに2本の牙が深々と首筋に食いこんでいた。
▲格闘戦を最もとくいとするゾイドゴジュラスでさえ、
サーベルタイガーには苦戦を強いられる。
格闘スピードに差がありすぎるのだ。