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怪鳥

ライトスタッフ フォンブラウン軍曹

▲フォンブラウンが共和国秘密工場で見たものは・・・

 ヘリック大統領の国家緊急法(X-day)が発令され、半年ほどたった冬のある朝。鳥族出身で第一空軍師団第三攻撃隊軍曹フォンブラウンは大隊長リヒトホーヘンの本部へ呼び出され、ヘリックの首都から北東へ約200キロのところにある共和国軍の工場へ行くよう命じられた。超極秘の指令であった。

 フォンブラウンはリヒトホーヘンが最も信頼する部下の一人であり、ペガサロスの操縦をまかせたら右にでる者はまずいなかった。

 

 ペガサロスで急ぎ工場に飛んだフォンブラウン軍曹の見たものは? 巨大な翼を持つ戦闘メカであった。

 

「X-day計画によって完成された空のメカ・サラマンダーだ」

 軍曹を案内してくれたのは、大統領その人だった。

 「このゾイドを君に預けよう、リヒトホーヘンが推薦した共和国空軍の最も信頼できるパイロットである君に、このサラマンダーを主力ゾイドにした第一攻撃隊の指揮官になってもらいたいのだ」

 

 その日から、フォンブラウン軍曹の血を吐くようなテストフライトがくりかえされた。その上昇力、その旋回力、その装備どれをとってもいままでのゾイドにはない性能であった。それだけに高度なテクニックを要求された、そして冷静な判断力も。 乗員の訓練も終わりついに出撃の時がきた。

 激戦の地ブラッドロック。帝国軍のレーダーにその姿が映った時、帝国軍兵士は恐れおののいた。怪鳥出現の知らせは帝国軍陣地に広まり、ゼネバスは共和国軍が本格的な反攻作戦に出たことを知った。

 シンカーの集中攻撃も巨大な翼に阻まれて歯がたたない。赤外線追跡タイプの強力なミサイルも対ミサイル用ミサイルによって着弾前にことごとく落とされてしまう始末であった。

 

 共和国軍はブラッドロックの戦いに勝利の兆しをみて取っていた。帝国軍は逆に長い戦いの歴史のなかで、いまほど危機を感じたことはなかった。 しかし、ゼネバスは、決して戦いを放棄したわけではなかった。

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