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帝国の逆襲

万能ゾイド アイアインコング出現

ZAC2032年

 巨大な黒い「山」が国境を越えようとしていた。

 

 南北に国境線が走る中央山脈の森林地帯。深い森に抱かれるように置かれた共和国の前進基地が、黒い一群にのみこまれ、一発の銃声すら響かぬうちに、破壊しつくされた。

 

 共和国兵士の不吉な噂は真実になった。極秘に開発された帝国ゾイド、アイアンコングがその姿を現したのである。

 背中に装備した二発のミサイルは、はるか離れた敵を粉砕する力を持ち、肩のミサイルを近距離から連射すれば、ゾイドゴジュラスといえど、踏みとどまることはできないであろう。加えて、ゴリラ特有の機敏な動きは格闘戦においても抜群の強さを発揮するにちがいない。

 アイアンコングの大部隊は、驚くべきスピードで山脈地帯を突破し、ついに共和国の平原へなだれこんだ。

▲国境突破は大嵐の吹き荒れる深夜であった。コングは、全天候性で夜間作戦可能というすばらしい行動力を証明した。

▲巨大ミサイルの猛攻。ミサイルを持つコングは、後方からの支援砲撃を必要としないため、敵地深く攻めこむことができる。

▲ジャングルに潜んでいた偵察用ゴルドスを一撃で倒す。敵を発見する能力も高く、ゲリラのような単独作戦さえ可能だ。

▲50kmの射程距離を持つ六連発ミサイル。接近戦では手に持って小銃のように自由に扱うことができる。

両雄激突!!

 戦場は共和国内の平原地域に移った。共和国の小型ゾイド部隊が、かなわぬことを知りながら繰り返し攻撃を試みた。コング部隊の進撃スピードを何とか遅らせようという、共和国軍の苦しい作戦であった。

 その間に共和国全域から動けるだけのゾイドゴジュラスが集められた。その数およそ二百台。対するコング百五十台。ついに大平原で二大ゾイドの大軍が激突を開始した。

 

 先手をとったのはやはりコング部隊であった。ミサイルが雨のようにゾイドゴジュラス部隊にふりそそいだ。しかし共和国軍は犠牲にかまわず前進を続けた。その勢いに、初めてコング部隊の足が止まった。

 接近戦に備えて、コングが肩の六連発ミサイルを手に持ちかえたわずかな瞬間をとらえて、ゾイドゴジュラスが襲いかかった。巨大ゾイドがぶつかり合う激しい格闘戦。もはやミサイルもレーザーも使うことはできない。一台、また一台とコングが平原に沈んでいく。

 

 さしものコング部隊も、ゾイドゴジュラスの前に退却を強いられた。

▲ゾイドゴジュラスと並ぶ共和国の巨大メカ、サラマンダーがコング部隊を猛爆。しかし、コングは六連発ミサイルを手持ちにかえて応戦。ついに地上にサラマンダーを引きずり下ろし、長い腕の一撃で息の根を止めた。

 コング部隊の懐に飛びこむ、ゾイドゴジュラス捨て身の戦法。自国領土内奥深く攻めこまれた共和国軍にとって、ここで退くことは全面敗北に繋がるのだ。
 しかし、領土を守ることができたとはいえ、アイアンコングの出現でゾイドゴジュラスの無敵時代は終わりを告げたのであった。

 

 

戦いの結果 戦いに勝ったとはいえ、ゾイドゴジュラスの損害はコング部隊を上回った。

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