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暗黒の大地に吼える黄金砲

暗黒大陸上陸に成功

ZAC2052年6月

 第一次暗黒大陸上陸作戦は、完全な敗北に終わった。
 救助艦のウルトラザウルスから降り立ったクルーガは、遠く暗黒大陸に続く水平線を見つめていた。彼は、そこに愛機レイノスを、やむを得ず置き去りにして来たのだった。

 やがてクルーガの肩に、背後からそっと手のひらが乗せられた。振り向くと、ヘリックの姿があった。
「君には、もう一度行ってもらうことになるだろうな。あの黒い大陸へ。今度は黄金砲を携えてね」
 ヘリックの澄んだ目に、敗戦のショックは無かった。

「君が撃墜したホエールカイザーから、わが中央研究所の科学者たちは、優秀な上陸母艦を開発したよ。そして、君の次の愛機もね。悲しんでいる暇は、残念ながらないようだ」
 
 ZAC2052年6目、第二次暗黒大陸上陸作戦の火蓋は切られた。上陸母艦タートルシップから、次々に共和国ゾイドが降下していった。上陸地点は、後にエントランス(入り口)湾と名付けられた。

 ダーク・ホーン、デッド・ボーダーを中心とした暗黒ゾイドが、上陸部隊を迎え撃った。タートルシップも損害を受けたが、共和国軍は一時も前進を止めなかった。

「クルーガ、出番だ。黄金砲で鼓膜が破れんよう耳栓でもしとくんだな」
 グラハム大尉の聞き慣れた声であった。

「大尉、それでは大尉の制止命令が聞きとれませんが?」
「今回は制止命令など出さん。引き返す湯所など、どこにも無いんだからな」

「ガンブラスター中隊発進!海岸線より半径5㎞の敵を残らず地獄へ送り込め」

 暗黒大陸の暗闇に黄金の光が射し込んだ。選ばれた優秀なパイロットたちが、切り札ガンブラスターの操縦桿を握り、上陸軍の運命をかけて、暗黒大陸の大地に放たれたのだ。
「クルーガ、来たぞ。方位、右35度――
 
 ガンブラスターの初めての戦いが始まった。

「距離1500…1200…800。シュート!」

 クルーガが全門フルメーターの黄金砲発射スイッチを押し込むと、強烈な反動が操縦席を揺るがした。
 ハイパーローリングキャノン、全16門の黄金砲は辺りを真っ白な光で包むと、デッド・ボーダー小隊10台を一瞬にして地上から消し去ったのだ。
 
「東部方面ガンブラスター小隊、5㎞ラインに到達。視界良好。敵の姿なし」
 クルーガの通信を皮切りに、各方面から作戦範囲制圧の報が続々届けられた。上陸から20時間後、上陸成功の暗号が打電された。
「バーナム川に初雪。…バーナム川に初雪」

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