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上陸!!暗黒大陸ニクス!!

ZAC2101年7月 ニクス大陸エントランス湾

 レイから目を離すな。問題?あるさ。戦果は申し分ないがな。あれの戦いぶりを、勇敢とはいわんよ。あれはただ、自分の死に場所を探しているだけなのさ。
(共和国軍閃光師団第1大隊隊長セレス・アルドワーズ中佐の私的会話より)

 アンダー海海戦から約2週間後。ついに、ヘリック共和国軍の暗黒大陸ニクス上陸作戦が開始された。ウルトラザウルスから飛び立った艦載機プテラスが、トライアングルダラスの回廊の情報をニクシー基地に報告。この回廊を輸送艦隊の航路に利用することで、共和国軍は帝国艦隊に気づかれることなく、ニクス沿岸に接近できたのだ。

 上陸部隊の先陣を切るのは閃光師団。朝焼けの暗黒大陸工ントランス湾に、輸送母艦ホバーカーゴの、パンツァーの、コマンドウルフACの砲撃音が響き渡った。帝国軍守備隊の頭上に降り注ぐ無数の砲弾。

「よし。陸戦部隊、発進せよ!」
 支援砲火の雨の中、シュナイダー、イエーガー、シャドーフォックスが次々に発進。敵陣に突入した。

 白い基本形態のゼロを駆るレイ・グレックも、この陸戦部隊の中にいた。味方の誰よりも先行し、敵の火カの一番強いところに飛びこんでいく。それは、死地に身を投げ出すような戦いぶりだった。どんな勇敢なパイロットも、レイにはついていけない。必然的に、単機での戦いとなった。それが、ありがたい。自分のために死ぬ仲間は、もう見たくない。また、焦ってもいた。ウルトラが目撃したという「鉄竜騎兵団」。そこにいた未知のゾイドが、あのティラノ型実験機のような気がしたからだ。

▲ウルトラの報告を受けた共和国司令部は、トライアングルダラスの回廊から上陸部隊を送りこんだ。

▲閃光師団に配属された新鋭機シャドーフォックスは、光学迷彩で忍者のように姿を消し、帝国ゾイドに奇襲をかけた。

▲パンツァーとコマンドACの凄まじい砲撃に、帝国守備隊は沈黙した。

▲閃光師団の快進撃で、常に先陣を切るのはレイのゼロだった。

▲シュナイダーの刃はセイバーの装甲を紙のように引き裂いた。

▲イエーガーのスピードと運動性能に対抗できる敵ゾイドはない。

▲パンツァー隊の集中砲火に、敵は防衛陣地ごと消し飛んだ。

――再び奴と出会う日は近い。
 
 その予感がレイの気を逸らせた。
 鉄竜騎兵団の襲撃からまだ立ち直っていない帝国守備隊に、閃光師団の猛攻が防げるはずがない。この後、わずか半日の戦闘で、エントランス湾は共和国軍の手に落ちたのだった。
 
 
 共和国軍主力部隊が、続々とエントランス湾に上陸してくる。それを見届けた閃光師団は、ただちにニクス大陸に進軍を開始した。電撃的なスピードで帝国軍の背後に回り、味方主力部隊と正面から戦う敵を包囲殲滅するためだ。

 進軍は順調だった。ゼロの速さとCASに対抗できる敵機はなかった。だが順調すぎることが、逆に師団司令部を不安にさせた。あまりにも敵が脆い。包囲どころか、このまま帝国首都ヴァルハラまで突入できそうな気さえする。
――裏があるのか?
 全シャドーフォックスが出撃した。敵の真意を探るためだ。四方に散る最新鋭ステルス機。やがてその中の1機が、閃光師団予定進路上の敵拠点で信じられないものを見た。帝国マークをつけたゾイド同士の戦いだ。いや、これを戦いとは呼ばない。一方的な殺戮だ。データにない未知のゾイド部隊が、圧倒的な力で拠点守備隊を踏みにじっていく。


――これが鉄竜騎兵団なのか?

 悠然と去っていく謎のゾイド部隊。密かにつけるシャドーフォックス。その前に、不気味な基地が姿を現した。

▲あの虐殺竜ジェノザウラーさえ問題にしない未知のゾイド。あのティラノ型実験機の完成体か?

▲人が足を踏み込まない火山地帯で秘密基地を発見。シャドーフォックスはただちに師団司令部に報告した。

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