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ブレードライガー改造計画

ZAC2100年08月 北エウロペ大陸共和国軍ロブ基地

 こいつに決めた。いいや、技術屋の意見は結構だ。ブレードが、こいつがいいといってんだ。別に、冗談いってるつもりはないよ。そうさ、やっと分かったんだ。あれは、そういう機体だってな。

(共和国軍特殊戦闘隊アーサー・ボーグマン少佐の発言記録より)

▲帝国新型ゾイドに対抗するため、ロブ基地でブレードの強化が試された。

 帝国軍の新型ゾイドの性能に、共和国司令部はショックを受けていた。対抗できそうな共和国ゾイドは、傭兵にしか操れないオーガだけ。すぐにもブレードの強化改造が必要だった。
 そして8月。技術班の不眠不休の努力の結果、いくつかの強化装備が完成。アーサーにテストが命じられた。正直なところ、アーサーにはどうでもいい話だった。ブレードの武装以前に自分自身を変える必要があったからだ。彼は今、長いキャリアで培ったゾイド乗りとしての技術を、全部捨てようとしていた。

 オーガの奇跡を見たからだ。ヘスペリデス湖に現れた"R"マークの改造ジェノザウラーのことも胸にあった。奴は、さらに扱いにくくなったはずの機体を自在に操っていたという。もしOS搭載機と心を通わせることでこれらの奇跡が起きるなら、自分も見てみたい。そして、ブレードの潜在能力を全部引き出したい。昇進を棒に振ってまでこだわった「最高のゾイド乗り」に近づくために。
 
 アーサーは、時間の許す限りブレードのコクピットを離れなかった。その上でのこのテストだ。精神的な消耗は、限界に近い。絶えず意識に流れ込んでくる破壊衝動は、陽気で気ままな「クレージー・アーサー」にはあまりに異質で耐えがたかった。

ブレードデストロイ
火力を徹底的に強化した、強襲用のブレード

▲ブレードライカーKS
ステルス型の夜間戦闘仕様機。後に共和国情報部で採用されることになる。

▲ブーストライガー
超高速で突撃し、頭部のレーザーブレードで敵を貫く。最高速度は350キロに達する。

スナイパーライガー
高性能照準機との連動によって、10キロの遠距離からの精密射撃が可能である。

▲スレイヤーライガー
内蔵したバーニアで、前後に可動する大剣。フリーラウンドシールドも切り裂く。

 もう、いくつめの武装テストだろう?意識が、朦朧としている。その時だ。突然、電撃のように新たな意識が飛びこんできた。ブレードの歓喜の感情だった。
――おまえ、こいつが気に入ったのか?
 機体には、アタックブースターが装備されていた。機動力と砲撃力を同時に強化するパーツ。なのにコンパクトで、機体バランスを壊さない。
――そうなのか?
 
 アーサーは今、破壊本能の奥に隠された、ブレードの本質に初めて触れていた。

ブレードライカーAB
武装、スピード、運動性を同時に強化できるアタックブースターを装着。アーサーのブレードに、採用されることが決まった。

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