top of page

帝国補給線を叩け!!

ZAC2100年05月 北エウロペ大陸 レッドラスト(赤の砂漠)

 そうよ。辿り着いたのはあたしだけ。何べん同じこと言わすのよ。だいたい、空を飛んでんのは、敵さんのゾイドばかりじゃない。約束が違うわ。報酬金、どーんと上乗せしてよね。
(フリーの運び屋、ムンベイの任務完了報告より)

▲制空権を握った共和国軍は、帝国補給線を徹底的に叩く作戦に出た。

 主戦場、北エウロペ大陸では、ミューズ森林地帯を挟んだ帝国、共和国両軍の膠着状態が続いていた。緒戦において圧勝した帝国軍が、共和国軍をエウロペ東端に追い詰めながら、とどめを刺せなかったことには理由がある。
 ひとつは、あまりに急激な進撃に補給が追いつかず、前線部隊の食料、弾薬が尽きたこと。もうひとつは、ステルスバイパーとガイサックを中心にした共和国奇襲部隊が、ゲリラ戦で予想以上の戦果をあげたことである。それでも、戦力差はすでに5対1にまで広がっている。補給線さえ確保すれば、帝国の勝利は揺るがないはずだった。

 だが、その補給線が断たれたのだ。
 
 空軍の敗北が原因だった。天空の覇者として君臨してきたレドラーが、空戦で共和国軍の最新鋭機ストームソーダーに、予想もしない大敗北を喫したのである。
 ZAC2100年4月。共和国軍の拠点、ロブ基地を爆撃するために出撃した1000機のレドラーが、迎撃に現れたストームソーダー200機と激突。1時間におよぶ空戦の末、325機が落とされ、407機が中破した。ストームソーダーの損害は、撃墜28。中破33。爆装によってレドラーの機体が重かったにせよ、あまりに一方的な敗北であった。
 
 その後も、空戦では常に大勝利を飾った共和国軍は、ついにエウロペ東部の制空権を確保。これに伴い、共和国司令部は、帝国補給線への徹底的な空爆を敢行した。そして同年5月には、帝国軍の輸送任務は、味方兵士ですら「死の行軍」と呼ぶほど危険なものになっていたのである。
 強大な戦力を誇る帝国陸軍前線部隊は、慢性的な物資不足に陥った。戦局は、今、少しずつではあるが共和国軍へと傾き始めつつあった。

bottom of page