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帝国快進撃

ZAC2099年8月 北エウロペ大陸

 敵だ!敵だ!敵だ!前も後ろも帝国野郎しか見えやしねえ。右も左も、上も下もだ。司令部!聞こえるか、司令部! ……。くそったれ!味方はどこにいやがるんだ!?

(共和国軍独立第十一機甲大隊隊長ロブ・ハーマン大尉の操縦レコーダーより)

▲両軍は、3つのルートから進撃を開始。主力はオリンポス山を目指す南方部隊であった。

 2099年8月。北エウロペ大陸に横たわる巨大な砂漠、レッドラストを挟んで対峙していた帝国、共和国の両軍が、ついに激突した。
 
 両軍の主力部隊がめざしたのは、エウロペ大陸の中央に位置するメルクリウス湖。この湖の真ん中には「エウロペの屋根」と呼ばれる高山、オリンポス山がある。この山は、エウロペ大陸全土が見渡せる最重要拠点。つまり、ここを制圧すれば、戦いが圧倒的に有利になるのだ。

▲ 緒戦で最もめざましい活躍をしたのは「動く要塞」レッドホーン。小型ゾイド中心の共和国部隊を蹴散らしていった。

▲メルクリウス湖をめぐる水上決戦。バリゲーターは得意の格闘戦に持ちこむ前に、ブラキオスの砲撃に沈められてしまった。

 だが、それでも共和国軍は動くべきではなかった。敵の数は、味方部隊の3倍。しかも、この戦争に向けて万全の準備を整えている。兵士たちの訓練度、物資の豊富さ、作戦のバリエーション。すべての点で帝国軍が共和国軍を上回っているのは明らかだった。共和国軍は陣地をかため、防御に徹するべきだったのだ。

 しかし、共和国軍司令部が選んだのは、真正面からの大会戦。不可解な作戦にもかかわらず、前線兵士たちは勇敢に戦った。だが、3対1の戦力差は埋めようがなく、共和国部隊は次々に打ち破られていったのである。

 そして、開戦後1週間。メルクリウス湖は帝国軍の手に落ちた。オリンポス山が占領されるのも、もはや時間の問題であった。

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