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帝国の野望
ZAC2098年10月 ガイロス帝国首都
ついにこの日が来た。覇王ガイロスは死に、新皇帝に立ったのは10歳のルドルフ。
今こそ、亡き父の悲願を果たす時。忌まわしきヘリックの名を冠した共和国を粉砕し、父の祖国、中央大陸へと還るのだ。
(帝国摂政ギュンター・プロイツェンの日記より)
一代で暗黒大陸を統一した英雄ガイロス。42年前の大異変さえなければ、惑星Ziのすべてを手にしたであろうと言われる、この偉大なる皇帝が死んで1年。帝国首都では、一周忌を兼ねた新皇帝の戴冠式が、壮大に行われていた。
新たな皇帝に立ったのは、ルドルフ・ツェペリン。異変で一族のほとんどを失ったガイロスに唯一残された肉親。だが、ルドルフは、わずか10歳の少年にすぎなかった。
「この幼帝に、異変の傷跡今尚深いこの国を、建て直すことができるのか?」
民衆の不安は、やがて実質上の最高権力者、摂政プロイツェンへの期待に変わっていく。だが、民衆は知らなかったのだ。いや、民衆だけではない。議会も、プロイツェンを後ろ盾と頼むルドルフ自身も、知りはしなかっただろう。この男の心に巣食う闇の深さと、野望の大きさを……。
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