top of page

開戦前夜

ZAC2099年6月 北エウロペ大陸 帝国軍ニクシー基地

 もはや止めようがない。荒廃した祖国の再建を顧みず、再びこの星に戦乱を起こそうとするあの男を。いや、やめよう。軍人はただ、与えられた任務に命をかけるのみ。

(帝国軍第一装甲師団第一大隊隊長カール・リヒテン・シュバルツ少佐の私的記録より)

 ZAC2099年。この時ガイロス帝国軍は、間違いなく惑星Zi最強の軍隊であった。すべての国が異変からの再建に全力を傾けていたこの時期に、国家予算のなんと60%を軍事費に注ぎこんでいたのである。

 そして同年6月。ついに帝国軍が、その最強軍団を動かした。90個師団にも及ぶ大部隊(兵員約180万人、戦闘ゾイド約9万機)を、西方大陸エウロペに上陸させたのだ。強力な統一国家をもたないエウロペにこれを迎撃するカがあるはずもなく、帝国軍はやすやすと大陸内部への侵攻に成功。わずか2週間で、大陸北部の30%を支配下においた。

 だがこの上陸作戦は、帝国の侵略スケジュールの第一段階にすぎなかった。

 彼らの真の標的は、旧大戦からの宿敵、ヘリック共和国。エウロペ侵攻は、共和国領である中央大陸デルポイに攻め入るための補給ルートの確保が目的だったのだ。もちろん共和国もこの状況を黙って見過ごすつもりはなく、ただちにエウロペ東海岸に、可能な限りの迎撃部隊を派遣した。その数、30個師団(兵員約60万人、戦闘ゾイド約3万機)。

 

 今まさに、40年以上にわたる平和な時代は終わりを告げようとしていた。惑星Ziの2大勢力が、決着をつける時がきたのだ。

▲エウロペ大陸に築いた基地で整備されるレッドホーン。万全の態勢で共和国を待ち受けていた。

 帝国基地に、共和国軍上陸の報が伝えられた。


「戦いは近い」
 兵士たちの緊張感が高まっていく。

西方大陸と古代遺跡

▲大陸の西側に進攻した帝国軍。一方、共和国軍は東側に布陣、砂漠を挟んで対峙した。

 西方大陸エウロペ。ここが戦場に選ばれた理由は2つある。ひとつは強電磁海トライアングルダラス。暗黒大陸ニクスと中央大陸デルポイの間にこの魔の海が横たわっているために、両軍は直接敵の本土に攻め入ることができなかったのだ。
 もうひとつの理由。それは、この大陸に無数に残る古代遺跡だった。現代のテクノロジーすら上回る古代惑星Zi人の超文明。それを手に入れることで、両軍とも、敵の優位に立とうと考えたのである。

 古代文明のテクノロジーとは果たして何か?そして、それを手にするのは帝国軍か、それとも共和国なのか!?

▲ガイロス帝国摂政

 ギュンター・プロイツェン

▲ヘリック共和国大統領

​ ルイーズ・エレナ・キャムフォード

bottom of page