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叫び

 暗黒大陸の朝は、ゾイド星人が誰も聞いたことのない大地を震わせる叫び声とともに明けた。そしてそれは、壮絶な史上最大の決戦の幕開けでもあった。10キロ四方いや、暗黒大陸全土に響き渡るその叫びは、あたかも暗黒大陸の最期を予感させるような恐怖に満ちていた。朝の霧にかすむ大陸の山陰から、奴は姿を現した。
 キングゴジュラス。新生共和国軍が、すべての技術力を注ぎ込んで完成した決戦ゾイドだ。

​ 前進

 キングゴジュラスは、巨大なボディを巨大な2本の脚で支え、恐れるものが何もないかのように山を崩し、暗黒軍の城に迫ってくる。もちろん、暗黒軍もただ手をこまねいていただけではない。すぐに反撃態勢を整え、全メカがこの巨大メカに立ち向かっていったのだ。

​ 破壊

 敵ゾイド発見、確認するとキングゴジュラスは動きを止めた。そして次の瞬間、口を開き、首を左右にふりながら、あの恐怖の叫び声(スーパーサウンドブラスター)をあげたではないか。

"GAOHHHH"
 立て続けに叫び声は響き渡る。
 まさに全軍で攻撃しようとしていた暗黒軍のゾイドも兵士も、一瞬にして石のように動きが止まってしまった。すべての機能が破壊されてしまったのだ。暗黒軍の城も城壁が、まるで砂のようになって崩れてゆく。地は裂け、真っ赤なマグマが吹き出してくる。

 そこはまるで地獄のような世界にかわっていった。

 両腕
 キングゴジュラスの容赦のない攻撃がつづく。スーパーサウンドブラスターにも耐え抜き、さらに攻撃をしかけてくる暗黒軍ゾイドには、胸のスーパーガトリング砲が火を吹く。雨のように降り注ぐ毎分3000発の銃弾が、敵ゾイドのプロテクターを撃ち抜き内部で炸裂、粉々に破壊してゆく。


 そして、仕上げは巨大な両腕だ。超硬度合金の爪、ビッグクローを装備した両腕を左右にひらき、掴み、潰し、ゾイドも城壁も粉砕していく。

 掃討
 キングゴジュラスは再び前進を開始した。目標は暗黒軍の秘密基地だ。巨大な2本の脚が、暗黒ゾイドを押しつぶす。さらに、長く太い尾(クラッシャーテイル)を左右にふり、まるで箒でも掃くように敵ゾイドを弾き飛ばす。キングゴジュラスの歩いた跡には、なにも残らない。スーパーサウンドブラスター、スーパーガトリング砲、ビッグクロー、クラッシャーテイル…キングゴジュラスは頭から尾まで、全身完全武装の超巨大戦闘メカだ。
 
 キングゴジュラス出現の前に、さしもの暗黒軍も壊滅状態となった。ゾイド星の戦いの歴史でも、これほどまでに一方的な勝利は記録されていない。しかし、新生共和国の完全勝利は、新しい戦いの始まりにすぎないことを、ゾイド星人はまだ誰も知らない。

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