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最後の上陸部隊

 海中工場が破壊されたらしい。いったい、何が起こったのか!?
 今、宿命の対決が始まったのだ。

 おやっ、不気味な影が海中から浮かび上がってくるぞ。大きな尻尾、キラリと光る目。するとこいつが謎の巨大ゾイドか!?そうだとすれば、こいつの目的は何?
 
 陸上では、激しい雨が暗黒軍基地を叩きつけている…。

▲謎の巨大ゾイド、浮上!!

 叩きつける豪雨。漆黒の闇に雷鳴が轟く。惑星Ziの終わりとも思える原因不明の異常気象の中、ヘリック共和国全軍を挙げた最後の上陸作戦が敢行されていた。
 暗黒大陸「ニクス」。ガイロス帝国の本拠地、帝都「ダークネス」への1年近くにも及ぶ進攻作戦「リベンジ・オブ・リバー」(逆襲の河作戦)は最終局面を迎えていた。ヘリック共和国、ガイロス帝国、両陣営が総力を結集した戦いは、共に次の手札を持たないどちらかその場を引いた者が敗者となるまさしく「決戦」であった。

「ヘリック大統領、いえ、戦士ヘリック、御武運を!」
「ありがとう!」
 
 共和国軍が誇る巨大ゾイド「ウルトラザウルス」を追い抜く形でその山のように大きな物体が姿を現した。それは「最後の上陸部隊」―――

 最終決戦用超弩級ゾイド「キングゴジュラス」である。


 巨大な腕と尻尾を持つ共和国軍最強のゾイドだ。基地に上陸し、胸のスーパーガトリング砲を全開にしてグレートサーベルに襲いかかった。

パイロット「ヘリック」

 キングゴジュラスは共和国軍ゾイド開発局が、地球から来訪した宇宙船「グローバリーⅢ」に残された科学技術と、現在のゾイド技術の粋を集めて完成させた究極のゾイドである。しかしこの機体は、絶大な戦闘力と引き換えに、搭乗者のみならず生態系にまで悪影響を及ぼす未完成のシステムが導入されていた。


 搭乗したのは、共和国軍総司令官でもあり、国をまとめる大統領でもある「ヘリックⅡ世」その人であった。以前はゾイド乗りでもあった彼は、これ以上の犠牲を払うことをよしとせず、危険を承知の上で自らキングゴジュラスへの搭乗を志願したのである。
 だが彼個人の心の中には、ヘリックとゼネバスという血縁関係の問題に始まった永い戦争、その延長にあるガイロス帝国との戦いに終止符を打つのは、その運命の血統を持つ自分でなければならないという思いが、キングゴジュラスへの搭乗を決意させたこともまた事実であった。彼はその運命をキングゴジュラスに委ねたのである。
 軍上層部は、彼の司令官としての能力、ゾイド乗りとしての操縦技術を信じると同時に、その心中を察してヘリックの言に反対する者はいなかった。信頼と共にヘリックⅡ世にキングゴジュラスは委ねられたのだった。

「こちら、ヘリック。一気に最前線に向かう!ゴジュラスMKⅡ1号機、バイス大佐、2号機クルーガー少佐、当てにしているぞ!」


「ログ・バイスです。ご同行できて光栄です」

「リーデン・クルーガーです。’総司令’とお呼びしてよろしいでしょうか?」

「確かに’大統領’ではやりにくいだろう。許可する」
「1号機了解!」
「2号機了解!」
「行くぞ!」

 キングゴジュラスは、エースであり、永きに渡りヘリックの家系に協力をしてきた血筋をもつ戦士の搭乗する2機の「ゴジュラスMKⅡ」を引き連れ、飛び交う砲撃の中、海岸から上陸した。ガイロス帝都「ダークネス」を目指して。

キングゴジュラスの脅威

 王の名を拝したゾイドはその名に恥じない圧倒的な力で進軍した。その装甲は通常のゾイド搭載兵器を跳ね返し、火力は中隊クラスのゾイド部隊を一掃するほどの威力を持っていた。その戦闘力もさることながら、その巨大な増援の存在は共和国軍兵士たちの士気を向上させた。 
 
 ガイロス軍は突如として現れた脅威に対し、その戦力をキングゴジュラスに集中した。吸収したゼネバス軍のゾイドでは歯が立たないと見るや「ヘルディガンナー」の部隊を前面に出し砲撃を開始した。しかしキングゴジュラスはこれに対してたじろぐ様子もなく、ある者は踏みつけ、また逃げる者を尻尾の一振りで破壊し、何事も無かったかのように進撃を続けた。
 帝都防衛部隊の最新型ゾイド「ガンギャラド」数機が接近し、ハイパー荷電粒子砲の射撃体勢に入った。
「ガイロス軍、後が無いな。邪魔だ!」
 
 戦闘の最中、自らも獣と化したヘリックの言葉に同調するかのようにキングゴジュラスは雄叫びを上げた。「スーパーサウンドブラスター」と呼ばれる超音波破砕兵器であるその咆哮に、ガンギャラドは砲撃を開始する間もなく、瞬時に残骸と化した。

「来たな本命!」
 首都ヘリックシティを空爆した元凶「ギル・ベイダー」がその姿を現した。5機の漆黒の竜が高速で接近する。
 
「総司令!」
「援護します!」
 バイス、クルーガー両名のゴジュラスMKⅡが対空攻撃を開始した。しかし…

「こいつらは私の獲物だ!手を出すな!」
 
 通信からでもその殺気を感じ取れる相手は、彼らの知るヘリックではなかった。攻撃を止めたゴジュラスMKⅡを相手にすることもなく、ギル・ベイダーはキングゴジュラスに接近した。攻撃を開始するギル・ベイダー。だが、その攻撃は分厚い装甲に守られた機体へダメージを与えることはできなかった。

 ギル・ベイダーは、まったく手が出ない。
 雨は、ますます激しくなるばかりだ。

暗黒軍を蹴散らせ!

 アンギャアー!!
 
 暗黒軍ゾイド、ジーク・ドーベルを踏み潰しながら、キングゴジュラスが勝利の雄叫びを上げる。共和国軍はキングゴジュラスのおかげで、大逆転をしたのだ。しかし、戦いはこれからだ。

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