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海戦

学者戦士 アルファー少尉

 中央大陸は5つの海に囲まれている。魚影が濃く資源が豊富なのはアクア海であった。マルガリータ暖流に運ばれてくる魚と暖かい空気はヘリック共和国を潤してくれる。
 海族出身のアルファーは、その頭脳をかわれて海洋学者として共和国で活躍していたが、戦火が厳しさを増してくるにつれて、学者といえども徴兵をまぬがれなくなった。しかしアルファーの場合はむしろ志願した方であった。 仲間が戦地で戦っているのに、後方で魚の研究をしているのもつまらない、いっそ海の知識を戦いに役だてて見ようと思ったのだ。
 アルファーはRMZ-10(フロレシオス)を高速艇に改造し、武装を強化して地味ではあるが海からの支援活動に力をそそいだ。
 沿岸警備隊として高く評価されたのはレッドリバー戦役のときの活動だった。以来、砂漠の戦いにおいても、そのほかの小規模の作戦においても海からの支援は続けられ、友軍からは頼りにされる存在になっていた。
 それも、これも学者アルファーの冷静な判断が生みだした成果だった。 

 ヘリック湾の警戒任務についていたある日、シンカーの大軍が攻撃を仕掛けてきた。敵の指揮官はもちろんゴードンであった。 
 アルファーは必死の防衛戦を展開しシンカーの首都進攻は食い止めた。


 戦いのさなかアルファーはシンカーで指揮する友人の横顔を見た。
 それは、冗談の好きな友の顔ではなく、戦う兵士の厳しい顔であった。 

▲アルファー少尉

すぐれた海洋学者、ドクターの称号を持つ。喧嘩屋ゴードンとは友人。

 帝国軍に海と空の戦力がない間は我がもの顔で行動できたが、シンカーの出現以来、目に見えてアルファー隊の被害は大きくなっていった。
 しかも、シンカーのパイロット"喧嘩屋ゴードン"は子どものころからの友達で、水上メカをいたずらしてはスピード競争に明け暮れた仲間だった。 

 その友人と、今は敵と味方にわかれている。

▲アルファー少尉の乗るフロレシオスとゴードンのシンカーがヘリック湾で激突。

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